日本型ヘイトスピーチとは何か(読書感想)
「日本型ヘイトスピーチとは何か」を読んだ感想です。
すごい熱量で書かれた本です。
在日コリアンである著者の「いつか我々は殺されてしまうかもしれない」というジリジリとした危機感が、読んでいる我々の心を刺激します。
大袈裟な、殺されるわけない、考えすぎだよ。私たち傍観者はそんな発言をしがちです。
レイシズム(人種差別)、性差別、パワハラ等、すべての人権侵害が起こる場において、第三者からこのような発言をしがちです。しかし人権侵害が起こる場において、黙認や傍観は加害であり、黙ったり被害者の口を閉ざすことができる自身のもつ権力について考えなければなりません。
「日本型ヘイトスピーチとは何か」では、関東大震災の際に実際に起こったジェノサイドを振り返ります。
そして現代もそのジェノサイドが起こりえる状況であることを説明していきます。
実際に2000年代に起こった事件を例に出し、問題点を挙げます。
なぜ日本のレイシズムはこれほどに根深く見えにくいのか。
著者は「反レイシズム規範がない」ことに大きく注目します。
私はここにすごく納得しました。そう、私たちは何が人種差別で何がそうでないのかがわからないのです。会社でパワハラがダメだと言われたときに何がパワハラにあたるのかを理解できないのと一緒です。何が性差別にあたるのかがわからない。
日本には人権規範がない。
だからヘイトスピーチのような人権侵害が起こっている際に、「これは人権侵害?声を上げていい?」と不安になるし、怖い。
でもマジョリティの傍観者たちが学んで「それはヘイトスピーチだ!やめろ!」という声を上げなければならない。マイノリティの方は生きるために声を上げ続けるでしょう。しかし、マイノリティの人だけが声を上げれば良いものではないし、むしろ声を上げるべきは私たち傍観できる立場にいる人間だと思う。変わるべきは我々マジョリティ側なのだから。
正直、「日本型ヘイトスピーチとは何か」は結構難しい本です。私にとっては難しかったです。
難しいと感じてしまうくらい私たちは人権について何も知らなさすぎる。そして、在日コリアンについての基礎知識もなさすぎる。
でも著者が持つ危機感に触れるだけでも一読の価値があります。
ジリジリとした危機感は私たち読書の心にも伝わり、自分ごととして差別を見ることができるようになる気がする。そのきっかけを与えてくれる本です。
みんな読んで...!
多分図書館に置いていると思うので。
実は私は読もうとして1回挫折しました、半年後にまた借りてやっと読めた。
でもおすすめなので、読んでほしいです。